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08. ホントにあったトホホな話ーその3、ガキの使い

 

以前、ある大手広告代理店の仕事をしていた時のこと。

その代理店(のWEBチーム)は、ある外資系の会社のアカウントをしていた。マスは他所(よそ)の代理店の扱いだが、WEB関連に関しては年間の販促予算を全てこの代理店が預かっている。

さて、その外資系クライアントの日本法人設立に合わせて、取りあえずの暫定版のサイトを間に合わせで作ったが、それからもう3~4ヶ月が立とうとしていたので、そろそろ本チャン(正式版)を作ろうという話になった。

正確に言うと、「3ヶ月くらい経ったら本チャン用のサイトの制作すると言ってたのに、全然アクションがないじゃないか」とクライアントから催促が来てしまって、動かざるを得なくなってしまったのだが… (←商売っ気、無いですね。クライアントが律儀に声掛けてくれたからよかったけど、その間に他から売り込みがあったり、クライアントが心変わりして他に発注しちゃったとしてもおかしくないのに…) ま、催促が来てる時点で既に状況としてはあまりよろしくないのだが、そこから先がまたなかなか進まない。

約束の日になっても、ラフがあがって来ない。こちらから電話で催促すると、実はまだデザイナーからあがってきてない、と言う。2~3日延ばした。 で、その日の朝になって、今日は持っていけない、と言う。トップのFlash Movieを1~2案作るのに、2~3週間。

 

で、やっと出てきたその案は、オリエン内容を無視したかなり「…」の代物(←ヒドいってことですね)。あれだけ待たせてこれかよー!と皆、怒り心頭。「オリエンの内容が反映されてないのは何故か」「打ち合わせミスか?聞き漏らしたか?」という質問に対しては、「聞いてたし、分かっていたけど、こっちの方が良いと思って、こちらの判断でやった」という答え。ナメとんのかー!?(←って言うか、舐められてますね、完全に。)

実際に手を動かしてるデザイナーの都合に振り回されている。→デザイナーが約束を破って「やっぱ、できませんでした」と言う。→制作会社が代理店に「やっぱ、間に合いませんでした。いや、デザイナーがですねぇ…」と言う。→代理店が「やっぱ、間に合いませんでした。いや、制作会社がですねぇ…」と言い訳する。→クライアント、怒って(←当たり前だ)「それをコントロール(制作進行管理)するのが、あなた達の仕事じゃないのか?」と代理店に怒鳴る…、という悪循環になっている。

まるで、ガキの使い…。

ここで一番エラいのは誰だ?デザイナーか?いや、違うハズだ。でも、デザイナーが一番エラそうだ。

そこで、何の気なしに、(でもちょっと嫌味をこめて)代理店の担当者に「そのデザイナーって一体何様のつもりなんですかね?それともそんなにエライ人なんですか?」と聞いてみた。そしたら、聞いてビックリ!何と、そのデザイナーというのは、我々業界人ならみんな知ってる(知らないとモグリと言われるかもしれない)かなり有名な人だった。まだ年齢的には若いけど、存在的には大御所と言うか、まぁ、大先生扱いなのだろう。制作会社も(大先生を怒らせてはいけない、と)気を遣って強く言えないらしい。

だから、クライアントに怒られた代理店が「それをコントロール(制作進行管理)するのが、あなた達の仕事じゃないのか?」と制作会社に怒っても、制作会社がそれをデザイナー本人には多分伝えてないでしょう。

 

あるとき、また予定どおりラフがあがって来なかった時に、代理店の担当者が、制作会社の担当に「いい加減にしろ、何で予定どおりに出来ないのか、理由を説明しろ!」と怒って(しかしながら、かなりやんわりと)聞いたら「いやぁ、デザイナーさんが今他の仕事が立てこんでて忙しいみたいなんですよぉ…」とのこと。二の句が継げません。「忙しいなら、受けるなよー!」

過去にどれだけ素晴らしい仕事したのか、どれだけ才能のある人か(私は)良く知らないけど、こういう仕事の仕方はダメでしょう。

あ、それとやり方の問題だけじゃなくて、あがり(=提出されるプレゼン用のラフ)もヒドいのです。とても大先生の仕事とは思えないし、間違っても、それをそのまま客先に持っていけません。予算も決して安くないみたいだし、仕事遅くて、アガリがそれじゃダメでしょ。名声が泣きますよ、先生。

で、よく聞いたら現行のサイトもその大先生が作ったらしい。へぇー、言われるまで分からなかった。有名なデザイナーが作ったとは分からないし、むしろ「誰だ?こんなダサいの作りやがって」という感じだったので、ちょっとビックリ!現行サイトというのは、あくまで暫定版で、トップ以下、スタティックなページがせいぜい10~20ページしかないのに、それで制作費はナント、X00万!(円)

しかも、特別凝ってるわけでもないし、デザイン的にバキバキ(先進的)というわけでもない、いたってフツーの内容。コンテンツも会社案内と製品紹介くらいしかないし…。トップにほんのちょっとオモチャみたいなFlashムービーがある以外は、他に何も無い。別に裏でDBが動いてるわけでもないし、EC機能も無い。ページ内検索もない、なのに、この値段…

 

大手の代理店にとっては、この位は当たり前で、もしかしたら標準的な価格なのかもしれないが、少なくとも我々個人や中小の制作会社の平均的な制作費と比べたら、天と地(月とスッポン?)の差がある。それだけ予算あれば、我々なら、同じ仕様のサイトが、いくつも出来ちゃう。

とか何とか、そんな話で盛り上がってたら、代理店のプロデューサ宛に別のクライアントから電話が入った。その会社の発注先の1つである大手広告代理店にサイト内のFlash Movieを頼んだら、とんでもないヒドいものがあがってきた。しかも、見積もりが500万!(円)。クライアントとしては、あんなの「使えないし、使う気もない」けど、「そもそも金額的には妥当なのか?」という相談だった。

おかしいよ。高すぎる。どうかしてる。でも、お金って、ある所にはあるんですねぇ~…少しは我々にも還元してくれー

ともかく、みんな、ちゃんと(自分の)仕事しようよ~。