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14. ホントにあったトホホな話~その6、会議ごっこはやめよう

会議の仕方がおかしい

最近、書店に行くと、会議についての書籍をよく目にする。「会議」について書かれた本なんて、昔はあんまりなかったんじゃないか?いや、あったかもしれないが、あんなに目立つところには多分置いてなかっただろう。会社や組織、何らかの集団に属していれば、色んな種類の会議が毎日幾つもあるのは当たり前。だから、そのやり方についてあれこれ言ったり、改めてその是非を問うなんてことは考えなかったし、あまりにも身近過ぎて、論じられる対象(=テーマ)になり得なかったのかもしれない。

それが、ここへ来て、バァ-っと出てきたということは、世の中の問題点としてクローズアップされているからなのだろうか?中には「会議なんてやめちゃえ!」とまで言っている本もある。ま、世間的な流行りはともかくとして、私も普段の仕事の中で、「こりゃあ、マズいでしょう?」という会議にいくつも遭遇して来た。そこ(会議)で交わされている議論や内容以前に、「会議のやり方自体が間違っている」というものだ。

さて、私があるクライアントのWEBコンサルティングの仕事を始めた頃、そのクライアントは丁度、現行のサイトをリニューアル中だった。初めて実際の運用チーム(事務局)と顔合わせした時、「この会議の後、引き続きリニューアルの打ち合わせがある」ということだったので、取りあえず様子を見ようと、そのまま残って、その打ち合わせに飛び入り参加することになった。

問題はここからだ。

今日は最終打ち合わせで、トップページや第2階層のデザインの確認だけと聞いていたので、事前に「何かご意見やアドヴァイスがあれば、遠慮無くズバズバとお願いします」とは言われていたものの、(…とはいえ、最終確認じゃ、まぁ今さらこの時点で言えることなんて無いよなぁ…)と思いつつ、会場となる会議室へ入って、ビックリ!

すごい数の人がいる…。クライアント側が7人+制作会社2人。7人の内訳は、広報×2人、宣伝×2人、システム×3人。フルメンバーである。ただでさえ多いのに、そこに我々3人が加わって更に増えてしまった。まぁ、急遽参加することになった我々は除くとしても、これまでずっとこんな大人数で会議を進めてきたのだとしたら…?もしこれまでずっとあのやり方で進めてきたのだとしたら、それ自体に大いに問題がある。各部署から複数の人間が参加する、あの大人数での打合せは、一番最初のブレストの時などにはアリだとしても、定例の打合せの人数としては、多すぎる。

何故だろうか?皆ヒマなのか?そんなことはないだろう。それともどうしても参加したいのだろうか?他の部署に任せて置けない、という責任感からそうしているのだろうか?…いや、そうも見えない。(失礼ながら)居ても居なくても関係ない人の方が多いように見受けられた。ほとんど発言しない、何のためにあの会議に出ているのか分からない人も少なくない。

あれじゃあ、時間の無駄だ。リソースの無駄だ。端から見ると、誰もが結果に責任持てなくて(持ちたくなくて)、共同責任にしたくて、わざとそうしているようにも見える。何かあった時、「あの時、みんなで決めたよね?」「みんなも居たよね?聞いたよね?」だから「ボクだけの所為じゃないよね?」と言うための…。

最初に各部署各担当からの意見を聞いたりする打ち合わせとしてはあれでもいい。でも、基本は、まず、社内で打合せをし、会社としての統一見解を決めた上で、代表の人間(1~2名)が、協力会社(外部スタッフ)と打合せし、決定事項として伝えるべきである。

これは、決して一部の人間が独断的にプロジェクトを進めろ、という話ではない。多くの人間がプロジェクトに参加するな、と言っているのではない。その逆である。もちろんなるべく多くの人間が関わった方がいい。ただ、それはイコール毎回大勢のメンバー(フルメンバー)が出席することではない。多くの人間の意見を聞きつつ、それを反映させ、メンバーのコンセンサスを取りつつ、しかしプロジェクトの進行自体は、その代表が進めればよい。

会議の内容もおかしい

さて、それじゃあ、その大人数でどんな話し合いをしているのか?

PCの画面をプロジェクタでスクリーンに投影して、それを見ながら、「ふーん…、あそこはオレンジなんだぁ…」「なんでオレンジなの?」「アカの方がいいんじゃない?」とクライアント側が言うと、「いや、これこれこうで、オレンジにしました」と制作会社側が説明している。「でも、ちょっと薄くない?もっと濃い方がいいんじゃない?」と突っ込むと、「いえ、これはですねぇ、プロジェクタで映しているので、実際よりちょっと薄く見えますが…」と制作会社側が答える。

えーっと、コレは…最終打ち合わせ、のハズである。何故今頃ここで色の話をしている?「私は○色がいい」なんて個人の好き嫌いを、何でこの席で言う?制作会社も、何故それにまともに受け答えている?おかしいぞ。

挙句、「えー?そんなのいつ決まったの?」「知らないよ」「聞いてないよ」「いや、それは欠席する方が悪いんですよ」「結果は議事録に書いてイントラに上げてありますけど、見てないんですか?」(←まさか見てないなんてことはないでしょうね?、と言わんばかりの凄い嫌味!)…と、クライアントの内輪揉めが始まった。

これまでの詳しい経緯は知らないが、あれでは、同席している制作会社の人も気の毒だ。外部の人間が、ああいう内部のやりとりを聞かされる義理は無い。まるで、友人宅に招待されて行ったら、目の前で夫婦喧嘩や、見たくもない嫁と姑のやりとりを無理矢理見せられた感じだ。そういうのは家庭内で解決して欲しい。

いずれにしても、色がどうとか細かい話は、あの場で決めることではない。所詮、「好き嫌い」にしか過ぎない。だから私も、あの時点で「どうですか?」と聞かれても、何とも言い様がない。これまでの経緯があって、紆余曲折を経て、今のデザインになっているハズなので、それをとやかくは言えない。言えたとしても、それはやはり「個人の(ここでは私の)好き嫌い」レベルの意見に過ぎない。

それに、これまでそのやり方を許容してきた制作会社にも責任はある。

制作に関する会議なのだから、本来、ちゃんと制作会社側がイニシアティヴをとって、クライアントを導いて行かなくてはならないのに、一緒になって「あんな茶番」を演じてて、どうする?

ま、部屋に入って来るなり、「また遅刻ですよ」「前回も遅れましたよね?」「時間厳守でお願いします」…、などと突っ込まれてるようじゃ、イニシアティヴ以前の問題か…

とにかく、無駄な会議はやめよう!必要な人だけ出ればいい!必要の無い人は(必然性の無い会議は)、出なくていい!会議をしてることで、仕事してる気になるのはやめよう…。仕事してるフリをするのはやめよう…