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16. 最近のビジネス書のタイトル

"Almost all absurdity of conduct arises from the imitation of those who we cannot resemble."

(愚行の原因は似ても似つかぬものを真似することにある)

 

~Samuel Johnson(サミュエル・ジョンソン)

本屋さんの店頭などを見ていると思うんだけど、最近の、所謂「ビジネス書」と呼ばれる書籍(主に単行本)のタイトルって凄いね。

特に「仕事のやり方」や「取り組み方」について書かれたモノ。

個人的には、その手の本っていうのは、大きく分けて2つのパターンがあるように思う。

ヒーローの武勇伝や成功者のサクセス・ストーリーを聞いて(読んで)、それに憧れて、「よし、オレも頑張ろう!」と奮起する、「夢追い型」「理想追及型」パターンと、「あなたにも出来ますよー」「こんな簡単な事から始めてみませんかー?」と言われて、なるほどこれなら如何にも自分にも出来そうだと思い、試してみる「現実着実路線型」のパターン。

で、特にスゴイなぁ…と思うのが、後者の方。「これさえやれば、これさえ直せば大丈夫」と言いながら、書いてある内容(主張)が、

  • グズを直せ!
  • 朝早く起きて片付けろ!
  • 話すのやめろ!
  • 説得するの止めろ!
  • 会議するな!
  • 何事も今すぐやれ!

…って、そんなの出来たらとっくにやってるよ。

  • 夜型を朝方に直せ!
  • 今日やることを明日に延ばすな!
  • 締め切りギリギリまで仕事を溜めるな!

出来ないってば!

それが出来ないから困ってるんじゃないのー。それとも、出来ないのは私だけ?みんなは出来るのかな?

 

でも、本読んで、「こうしなさい!」って言われて、それがすぐに(ホントに)実行できる人は、本読まなくても遅かれ早かれ出来てただろうし、そもそもこの手の本のお世話にはならないんじゃないかと思う。だから、きっと元々出来ない人、本読んでも結局出来ない、何も変わらない人が読むんだね。で、読んだときだけその気になって、瞬間的にモチベーションがグっと上がるのかもしれないけど、しばらくして熱が冷めると、結局何も変わってない。で、また救いを求めて次の本を買う…、という繰り返し。

でも、それでもきっとみんなは買うんだろうね。とにかくあれだけ沢山、しかも次から次へと出版されるってことは、それだけ売れてるからなんでしょう、多分。そうか、結局何も解決しないから、また次の新しい本が出たら、みんなが買うんだ。うまく出来てるね。処方箋無しで買える薬局の市販薬と一緒みたい(=ホントに効き目があって、一発で治っちゃったらクスリが売れなくて商売にならない)

 

あ!、もしかしたらみんなは、「何の解決にもならない」ことすら承知の上で、その「長続きしない一瞬のやる気の高揚」を楽しむ為に、その都度「使い捨て感覚」で買ってるのかなぁ?私のように「役に立たないじゃん!」みたいな突っ込みはしちゃいけないのかな?そんなの分かった上で、割り切って買ってるのかな?だとしたら、失礼しました。

でも、そういう私も、何だかんだ言いながら、新刊が出ると、ついついチェックしちゃう。中身が気になるし、もしかしたらすごく面白い本である可能性もあるから。つまらなきゃ、つまらないで、「おー、これもやっぱりダメだった」と、違った意味で妙に納得してみたり…。

それに、ついつい手に取って中身をチェックしてしまう…ということは、それらの本には「手に取ってみたいと思わせるだけの魅力」はあるわけで、そういう意味ではタイトルの付け方や装丁なんかはとても勉強になる。ただ、実際は、手に取ってパラパラみた時点で「なんじゃこりゃ?」もしくは「やっぱりねぇ~」となっちゃうわけだけど…。

とにかくネ、 出来ないことは、出来ないよ。