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19. お金の使い途

Part-1、教育現場における「IT化推進」?

普段、Webディレクションやプランニングの仕事をしていれば、当然具体的なウェブサイトの企画や設計、演出がメインになるのだが、それ以前の問題として、お金や人の労力が見当違いのところで無駄に使われているのではないか?ということを強く感じる。

このサイトのコラムで取り上げている各々のトホホ話も、もちろんその一部ではあるのだが、一(いち)クライアントの話ではなく、もっと大きな組織=国のお金の使い途(使い方)について、自分自身の体験を元に、幾つか例をあげてみる。

ちょっと古い話で恐縮だが、例えば、2000年~2002年頃にかけて、国は「IT化推進」の名のもとに色んな施策を行った。(その全体像や正確な内容については私は把握していないし、ここではその詳細を述べるのが主旨ではないので、あくまで私が実際に関わった、経験したことに限って話を進める。…というより、他のことは良く知らない)

 

当時の文部省(現在の文部科学省)がIT推進化の一環として、IT推進化モデル校というものを選定し、選ばれた各高校に専用ハードとインターネットに関するインフラ一式を支給した。そして、各高校にインストラクターを派遣して、高校側からの対応に当たらせる、という措置を取った。そのインストラクターは、各人材派遣会社から派遣される事になるが、その派遣会社の選定は、東京都はA社、神奈川県はB社といったように、地域ごとに事前に割り当てが決まっていた。東京都指定の派遣会社から依頼を受けた私は、その(推進校の)中の1つである、港区のある高校に行った。

取りあえず、ハードだけ与えて、後は知らん。後は人材派遣から人が行くから…で終わり。だからかもしれないが、我々の仕事の依頼内容もハッキリしない。「何かあったら対応してくれ」だけだ。別に何も無いし、何かあったら、それは即、我々では対応できない事態(=ハードウェアトラブル)を意味するハズだ。我々はアドミンでもないし、システム管理者でもない

だから、ぶっちゃけ、一日そこに居てもヒマで、することと言えば、たまに先生達にExcelやWordやhtmlやPowerPointやAccessのTIPSを教えてあげることぐらい(しかも私の出番は、二週間に一回、一日だけ、だ)

ちなみに、私が頼まれた最初の仕事は、生徒達の残したブックマーク(お気に入り)と履歴の削除だった。実際に端末をチェックしてみたら…、案の定そこには、男子生徒が残したと思われるエッチなサイトへのアクセスと、女子生徒が残したであろうアイドルグループのサイトへのアクセスの足跡が多く残っていた。「それを消してくれ」と…。

消すのはいいが、そんな事に何の意味があるのか?一度消してもどうせまたみんな見に行く。一人に端末一台、放課後は生徒達にPCルームを解放となれば、若い子達は当然自分たちの興味のあるページを見に行く。これは自然な事だろう。何回消したって、イタチごっこだ。

 

いきなり一方的に一式ドサッと渡されても、必ずしも学校側に受け入れ態勢が出来ているとも限らない。専任の担当が居るわけでもない。結果的には、たまたまちょっとパソコンやネットワークに詳しい先生や、授業で理科を教えている先生達が責任者にならざるを得ないことになり、彼等に負荷が掛かる。そして、うまく行くかどうかは、彼等の頑張りに負うところが大きい、というのが実状だ。

結局私がしたことは、先生たちの愚痴と現状の聞き取り、そしてそれ(=現状が如何にヒドいか)を派遣会社に伝えたことくらいだ。私の訴えた話が、派遣会社から発注元である東京都へ伝わったかどうかは知らない…。多分伝わってないだろう。

これを見る限りでは、国が考える、教育現場における「IT化推進」とは、「パソコン一人一台与えてあげるから(ネットも繋げたから)、自由に使いなさい」というレベルなのか?と思われても仕方ない。

結局、私は2回ほど行った後、「私自身がギャラに見合うだけのサービスを提供できていない(出来ない)」のと「個人的に仕事の内容に納得がいかない」という理由で、この仕事は辞退した。

(次のページ「Part-2、医療現場における「IT化推進」?」へ続く→)

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