Webサイトの構成要素
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それでは、その問題とは何でしょうか?
問題が何処にあるかを明確にするために、まず、Webサイトの構成要素について見てみます。
心技体
唐突ですが、スポーツや武道の世界では、よく「心技体」ということが言われます。
かつて若干ではありますが武道を嗜んだ者として、ここでは、その概念を用いて説明してみます。

意味については、みなさんよくご存知だと思いますが、この3つの要素はそれこそ三つ巴の関係で、どれが欠けてもうまく機能しない。(図1)
三位一体とも言われます。
その考え方を図にすると、こんな感じでしょうか。(図2)


さて、Webサイト自体を、「心技体」に当てはめてみると、それぞれ
心 | =考え方、コンセプト、運営者の情熱、心意気 |
技 | =テクニック、テクノロジー(演出的側面) |
体 | =コンテンツ、構成要素(素材的側面) |
と言えます。(そんなにうまく3つに分けることができるか、って?…イヤ、出来ないでしょう…。あくまで「喩え」です)
理屈から言えば、この3つの要素のどれが欠けてもそのサイトはうまく機能しません。
「心」が足りない | 確かにお金も掛かってる。それなりのデザインにそれなりのコンテンツ、ぱっと見はそこそこ良くできている、でも、何かが足りない、訴えかけてくるものがないというサイトになります。 |
「技」が足りない | せっかく中身(体)がしっかりしていても、見せ方が悪かったり、ユーザを惹きつける努力(技)が無ければ、多くの人に見てもらうことができないかもしれません。 |
「体」が足りない | 中身(体)が無ければ(=内容がヒドければ)どんなにカッコいいデザインや最新技術を用いても、集客の為の努力をしても、結果には結びつかないでしょう。 |
話を次に繋げるために、多少強引ですが、先ほどの概念図(三角形の図)を立体的にしてみます。
全体(=人間)を球体に見立てて半分に切った断面図のようなモノです。
外から見えやすい=客観的に判断しやすい(もしくは、しにくい)順に並べてみると、こうなります。(喩え…、ですよ)

Webサイトの制作に関る人的要素
次に、Webサイトの制作に関る人的要素について見てみます。
Webサイトが作られる上での登場人物といえば、最も基本的なパターンとしては、発注側(クライアント)と制作側(制作会社)の組み合わせが考えられます。(この、ごく当たり前と思える組み合わせにこそ実は問題がある、という話は後ほど…)
これにそれぞれ「心技体」に当てはめてみると、それぞれ
クライアントの「心技体」 | 制作会社の「心技体」 | ||
心 | =意識、姿勢 | 心 | =意識、姿勢 |
技 | =商品力、販売力 | 技 | =制作スキル |
体 | =社内体制、ワークフロー | 体 | =社内体制、ワークフロー |
と言えます。
これを図にしてみます。
組織の構成要素の断面図(のつもり)です。

円の外側に行くほど、外(外部)から見えやすい、内側に行くほど見えにくい。
この並びが厳密な意味で正しいかどうかは分かりませんが、便宜上こうしておきます。
それぞれ、取り扱い商品や制作スキルは比較的分かりやすいし、客観的に評価しやすいので、一番外側。
「何を考えてるか?」というのは判断しにくいので一番内側。
ここでさらに、図5を詳しく書くと、こうなります。

何かパーマンとか昔のロボットの耳のようにも見えるし、地球の断面でマグマが地上に吹き出てきてるようにも見えるし、ちょっと怪しい形ですが、まぁ、気にしない、きにしない…
このアンテナのように飛び出た部分が、それぞれ(1)と(4)=クライアントや制作会社の考え方や意識が外に出ている部分です。
「クライアントや制作会社の考え方が、まったく外に出ていないか?」「何を考えているか全く分からないか?」と言えば、そんなことはないので、ちょこっと出してみました。
ただ、「それはあくまで一部でしょう」という意味で、大きさ的には小さくしてあります。
こうして見ると、ワークフローだけが外からは見えないという事になります。
一緒に仕事をする前(=プロジェクト開始前)はこの状態。
で、実際にプロジェクトがスタートして、一緒に仕事をするようになると、この2つの同心円が合体して、図7になります。

プロジェクト開始後の状態。
「体」の部分=ワークフローの部分に交わるところが出来ます。これが(7)です。
一緒に進める部分です。
細かい話ですが、(7)はあくまで外の人間と仕事をする上での対外的なワークフローであるのに対して、(2)と(5)それぞれの社内でのワークフローなので、プロジェクト開始後も依然として残ります。

これを先ほどの心技体の断面図に置き換えて言えば(図8)、一番内側の「心」の部分は、別に誰と仕事しようが、考え方なんてそんなに簡単に変わらない部分なので、交わらず、一番外側の「技」の部分も直接は被らないので、交わらない。
つまり(2)と(5)は、もともと「体制」の「体」、「体質」の「体」なんですが、(7)は転じて「対外」の「対」となるわけです。
これらの構成要素、(1)~(7)がうまくバランス取れてれば、サイトはうまく行く。
逆に言えば、どれかに問題があるなら、それが原因でうまく行かない、ということになります。
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