大きな組織特有の問題
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では、会社という組織構造が、マイナス要因になるとは、どういうことでしょうか?
Webサイトを取り巻く、クライアントの社内のワークフローに起因する問題の中身は、何処でも一緒であるわけはなく、各社バラバラです。なので、それを一様に論ずるにはムリがありますが、ひとつ言えることは、(私が担当したクライアントが比較的大企業と呼ばれる会社が多かったこともあるのですが)、どうやら大企業には大企業独特の問題があるようです。
では、中小企業や個人などの比較的「小さな組織」と、大企業等の比較的「大きな組織」の違いは何でしょうか。
まず、小さな組織は、
- Webサイトの運営・制作等に社長もしくは経営陣等、限りなくトップに近い上層部の人間が直接関っている場合が多く、意思決定が早い(=話が早い)
- 常に利益を出すことを念頭において行動しているために、より儲かるための新しいアクションを歓迎する下地が出来ている。
- その彼等(上層部)は、商売のプロであっても、マーケティングとか販促とか広告とか宣伝とか、ましてやデザインとかITとかWebには疎いケースが多い→素直に外部のプロの意見に耳を傾ける(受け入れ体制が出来ている)
- 小回りがきくので、今までのモノを止めてすぐに明日からでも新しいことに取りかかれる(=変化に順応出来る状態にある)
他にも、例えば、ネットショッピングやe-コマースに関して言えば、もともと取扱商品やテーマが少ない(絞られている)というのも、有利に働いているかもしれません。
それに対して、大きな組織はどうでしょうか?
- 図体がデカいので、急な変化にすぐ対応できません
- 所轄部署が細かく分かれていて、1つのことを決めるのにも、複数の承認が必要でとても時間が掛かります。
- Webサイトの運営や制作に、上層部が関っているということも考えにくく、現場主導型なる。つまり、意思決定が遅い。
- 営業や経営陣など数字に敏感なセクションではなく、数字(=ノルマや具体的な達成目標を持たない)広報部や宣伝部が担当部署になっている事が多い(マーケティング手法としての認識が甘い)。
- マーケティングとか販促とか広告とか宣伝とかに疎いということは、まずないでしょう。それぞれ専門の部隊がいるハズです。ただし、それが必ずしもデザインとかITとかWebに詳しいとも限りません。広報部や宣伝部が担当した場合、むしろこれまでの豊富な経験と実績が、未知なるものに対する過大な偏見と先入観を抱かせ、変化や改革への邪魔をする傾向があります。※個人的には、Webやインターネット的発想と従来の広報・宣伝の発想は、基本的に相容れない(もしくは対極にある)モノと考えます。
- 組織が大きければ、取り扱い商品や展開する事業の幅も広いので、サイトでのテーマや商品を絞り込むことが難しくなってきます。事業部が20あるのに1つしか紹介しないわけにはいかないでしょうし。それに、売り物が商品やサービスだけとは限りません、有名な企業であればあるほど、商品以外の付加価値やブランドイメージなどが付いて回ります。消費者へ直販しないメーカーであれば、サイトの内容をB2BとB2Cに分ける必要も出てきます。
つまり、大企業には、大企業特有の問題(組織の問題)が存在し、それはもともとインターネット(的発想や行動)とすごく相性が悪い、ということが言えます。これが、問題をややこしくしている原因の一つです。
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