ホームドクターとしてのWebコンサルタントの必要性
「医者でもどうしようもないことがある…」
「いいか、患者に治ろうとする努力の気持ちがあってこそ、医者の治療はききめがあるんだ!」
~手塚治虫/漫画「ブラック・ジャック」
エピソード「されどいつわりの日々」より
では、その第三者とはどんな人か?どういう人であるべきか?
(ホントは呼び方とか肩書きなんてどーでもいいのですが)ここではその人のことを、いわゆる「経営コンサルタント」と呼ばれている人達と区別する為に、便宜上「Webコンサルタント」と呼びます。

このWebコンサルタントは、例えれば、「ホームドクター」のような存在だと考えます。(図1)
(Consultという単語には、元々と「医者に掛かる」いう意味があるようです)
ホームドクターの仕事は、病気の予防(早期発見)と、健康状態の維持(健康管理)がメインです。そして、悪いところが見つかれば、応急処置はしたとしても、実際に自分で手術したりはしません。専門の医師を紹介したり、大きな病院へ廻したり…と、然るべき対応を取ります。
ホームドクター(としてのWebコンサルタント)がいる場合と、いない場合を、病気にたとえて比較してみます。(図2、図3)
グラフの縦軸が健康状態をあらわしています。上に行くほど健康で、下に行くほど不健康、下の赤い部分は、RED ZONE=最悪の状態です。グラフの横軸は、時間軸です。左から右へ向かって時間の進行をあらわします。

さて、従来のサイト制作の基本スタイルは、案件が発生してから、代理店や制作会社に依頼して、サイト制作をするというものです。(図2)
これは、クライアントが必要性を感じて自分から病院へ行く、というパターンです。その必要性というのは、「何となく具合が悪い」と自覚症状が出たとか、別に何処も悪いとは思わないけど、年に一回毎年やってるから、というものかもしれません。この場合、具体的なプロジェクトやサイト制作を前提としたコンサルティングになるので、納期という問題が伴います。基本的に単発なので、サイト制作を手術だとすれば、診るのは、納品(手術と術後経過)までで、終われば診ない。
本人の自覚症状が出てから、病院に駆け込んだ場合、既にレッドゾーンに突入しているかもしれません。この位置から、健康状態を良い方へ持っていく(=上方修正する)のは大変です。体力的にも、費用的にも、本人にとっては大きな負担になるでしょう。もしかしたら、上向かず、更に悪化する事も十分考えられる。手遅れになっている可能性が非常に高いのです。年に一度の定期検診であれば、たまたまタイミングがよければ、早期発見になるかもしれませんが、タイミングがずれると手遅れになるかもしれません。この「ノーチェックの期間」が長すぎるのです。
ここで問題なのは、「本人が病院に行く」というきっかけが無い限り、生まれ得ないプロセスであるということです。そのきっかけは体に変化が現れたり、実際に具合が悪かったり、…という理由によるものが多く、早期発見の場合は良いとしても、結果として、すでに発病していたり、手遅れだったりします。それに、病気であれば再発の可能性もある。
でも、本人が気付く場合は、まだマシで、一番ヤバイのは、現状の問題を担当者が認識していない場合です。つまり病気にかかっていて、それが密かに進行していることを本人が知らない(←これぞまさに(2)の社内のワークフローです)
俺は健康だ、何処も悪くない(=うちのサイトには問題は無い。うまく行っている)と信じている人です。本人が認識してないということは、病院に行かない(=医者に掛からない)し、病気も発見されません。この、「本人が思い立たない限り、病気(=問題)が明るみに出ない」「出た頃には、手遅れ」という状況を変えるためにも、ホームドクターに掛かる必要があるのです。

これに対して、ホームドクターがいる場合はどうでしょう。(図3)
何処か悪い所が無いか、常に目を配っています。リニューアルなどの具体的な案件、サイト制作を行っていない時も常に診ています。基本的には、良好な状態を保つことが望ましいのですが、ひとたび具合が悪くなりそうな前兆を見つけたら、その時点で、それ以上悪くならないよう応急処置をして、さらに回復を目指します。下降を食い止め、上方修正に努めるのです。この時点で発見できれば、体力的、費用的負担は、比較的少ないハズです。

つまり、絶え間ないチェック、もしくは非常に短いスパンのチェックによって、グラフ上での「振れ幅」をなるべく少なくします。
ここでいうWebコンサルティングというのは、「悪いから診てもらう」「悪くなってから診てもらう」、のではなく、「良い悪いに関係なく、定期的に診てもらう」事であり、「いざ事が起きてから、大事になってからどうこうする」のではなく、「事が大きくなる前に、事が起きないように、起きても大きくならない様にする」為のプロセスなのです。
※定期的に診てもらう、のであれば「定期検診」という言葉を使いたいところですが、一般に「定期検診」というと、「会社で年に1~2回やるアレ」を連想してしまいます。「年に1回定期的にリニューアルします」みたいな感じで、ちょっと意味合いが違ってきます。
これでは、ちょっと少ない。スパンが長すぎます。イメージ的には、やっぱり最低でも月イチ(月に一回)位でしょうか。むしろ、「月次検診」とか「月例検診」と言う方がピンと来ます。だから、「定期検診が大事」とか「定期検診しましょう」っていう表現は、やめておきます。
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